久し振りに、いいダービーを観させてもらいました。
あまりにも条件が揃ったエフフォーリアには、勝負のアヤで頭は外すのではという推理が、たまたま当たったからではありません。
実際、3連単の3着馬抜けてしまいました。
22歳の横山武史騎手にとって、彼が超一流に昇りつめるためには、このハナ差はとてつもなく大きいものになると思ったからです。
勝ったシャフリヤールに騎乗していた福永祐一騎手は、これで3度目となるダービー制覇ですが、ワグネリアンで勝つまで20数年かかりました。
デビュー3年目で迎えたダービーでキングヘイローに騎乗した彼は、馬をまったく制御できずに惨敗しました。
その時の光景は、今でもはっきりと覚えています。
天才、福永洋一の息子という期待感はもの凄いものがあって、周囲からの重圧は半端でなかったと思います。
今では、押しも押されもしない一流ジョッキーになっていますが、あの時の挫折感があればこそだと思います。
横山武史騎手にも、そうなってもらいたいと思いました。
私も64歳を迎えています。
今から20年後のダービーとなるとどうなっているかわかりませんが、彼のダービーでの騎乗を毎年の楽しみにしていきたいと思います。
今年引退した、蛯名正義騎手があと一歩で獲得できなかった勲章です。
そう簡単にはいかないと思いますが、それでも、今日勝ってしまうより、後で振り返って、今日のハナ差は彼の原動力になると確信しています。
お父さんの横山典騎手は決して愛想がよくないので、あるパーティでお会いした時も正直なところ仏頂面でした。
「キクノオーの頃、お父さん(横典のお父さんで、武史騎手のおじいちゃんで横山富雄騎手)を応援していましたよ。」と話しかけたら、一瞬顔がほころんでいました。
家族、親子とはいいものです。
今日も、最後方から息子の騎乗を見て、感慨深い騎乗になったと思います。
勝負事に情は禁物ですが、こういう人間模様のたまにはいいものですね。
そんなことを考えさせてくれたダービーでした。